通信教育部長からのメッセージ

通信教育部長 法学部教授 遠藤 研一郎通信教育部長  法学部教授
遠藤 研一郎

 「大学」で「法を学ぶ」ということは、何を意味するのでしょうか。伝統的には、法を運用することができる専門家を目指す、という目的があるように思います。社会は常に、法曹、司法書士、公務員、企業の法務担当者など、法を運用できる法律専門家の存在を必要としています。

 しかし、それだけではありません。私たちは、法に依拠して社会生活を営んでいます。出生、入学、就職、結婚、居住、旅行、交通...。どの場面でも法と切り離すことはできません。ですから、私たちが生きるうえで、法的な知識や考え方が必要不可欠になるのです。より普遍的な法的思考を学ぶことを通じて、今までの物の見方と異なる視野を手に入れること。これも、法学を学ぶことの大きな意義といえます。

 さらに、今、日本の社会は、曲がり角に差し掛かっています。拡大から維持・縮減へ転換し、様々な格差が拡大化し、難しい外交問題が横たわり、災害への体制整備が急務となっています。今までの法では対応できない問題がたくさん露呈しています。そのような中で、現在ある法だけではなく、未来志向的に「これからあるべき法」を模索し、社会に提言できるようになることも、法学と向き合う者の役割です。

 本学の通信教育課程では、現在、約3,500人の学生が在籍していますが、その半数以上が、働きながら学んでいます。高齢の方も少なくありません。みなさんが、それぞれの人生のバックボーンを持ちながら、日々、学習に励んでいます。そのような多様な学生層に、法学という学問は親和的です。なぜなら、法は社会の中に生きているからです。社会を知らなければ、苦い人生経験を積まなければ、何か理不尽なことに直面しなければ、なかなか法に関心が持てないはずです。そのような意味において、社会人になってからこそが、法学と向き合うチャンスということもできます。

 本学の通信教育課程は、入学しやすく、卒業しにくい課程です。同時に、それぞれの学生が、多様な目的や問題意識を持ち、また、等しく熱意を持って学んでいる場でもあります。そのような意味で、最も「本来の大学」らしい学びの場であるかもしれません。たくさんの方に、伝統ある法科の中央で、法を学んでいただきたいと心から願っています。