在学生の声森 由美 さん

海外で学ぶことで、日本の法律を日本にいる時以上に意識し、より興味をもって学ぶことができます。

森  由美  さん
  • 入学:2013年4月(3年次編入学)
    就学時:40歳代
    居住エリア:アメリカ テキサス州在住
    職業:会社員
    (2017年3月掲載)

アメリカに渡られて何年くらいですか?

 今年の4月でちょうど2年半です。

入学のきっかけを教えてください。

 人事関係の仕事をしているため、労働法をはじめとする様々な法律に触れることが多いのですが、条文などにはっきり書かれていない曖昧な部分をどの様に解釈するべきか、ということを感じ、法律を体系的に学びたいと思い入学致しました。

アメリカでの生活で感じられる、日本の法律との違いなどを教えてください。 

 アメリカの法律は原則として子供や障がい者といったサポートが必要な人に対する保護については日本以上に厳しく規定されていますが、それ以外の部分では個人の自由と平等が最も尊重されていることを強く感じます。一人一人の考え方も、法律やルールで決められていない場合には、全ての人が平等の権利を持ち、自由に行動してよい、という認識が徹底していると思います。

レポート作成において苦労した点や印象に残ったインストラクターの指導などを教えてください。

 レポート課題に関して必要となる基本的な部分をどこまで細かく書くか、という点について毎回悩みます。何度も推敲している内に細かくなり過ぎて分かりにくくなってしまったり、その逆に細かい部分を削除し過ぎてしまったりと、レポートを提出するには毎回とても時間がかかります。インストラクターの方々にはいつも大変丁寧に指導して頂いて感謝しております。合格点に達していても更に学習を深めるべきポイントを書いて頂けることも多く、科目試験に向けて復習する際にとても役立ちます。

海外在住による不便な点や不利な点などはありますか?

 最も不便なのは、やはり郵送に時間が掛かるということです。レポートなどを普通郵便で送付すると何故か1ヶ月近くかかってしまうこともあり、DHL、FedEXなどを使っていますが、送料が5000円/回近くかかるのが悩みの種です。参考文献も取り寄せをすると時間もお金も掛かるため、日本に帰国できるタイミングでその後の学習スケジュールに合わせて参考文献を探して購入するなどしています。それでも学習を進める過程でもう少し他の参考文献で確認したいと思うこともあり、なかなか予定していた通りに学習が進まないことに不便を感じています。

法律を学んではじめてわかったことやこんなはずではなかったということがありましたら教えてください。

 法律を学ぶ前は、法律に則れば基本的に白黒が簡単に決定できるものと思っていたのですが、学べば学ぶほどグレーな部分が多いことに驚いています。それを如何に判断するかは、過去の判例や学説などに拠る部分が大きいものの、完全にクリアになっているものばかりではなく、新しい学説が展開されているものも多く、どこまで行っても法律を学ぶことに終わりはないのだなと気が遠くなります。
 また法律とは直接関係のない話になりますが、レポートを清書するのに思った以上に時間が掛かり、下書きは出来上がっているものの清書する時間が取れず、提出が遅れてしまうことが想定外でした。飛行機での移動時間に清書を行うことも多いのですが、アメリカ人にはこの時代に大学のレポートを手書きで提出しなければならないことが信じられないらしく、毎回隣り合った人に理由を聞かれることも想定外でした。

海外在住の方からのお問合せが増えております。これから海外で学ぶことを検討されている方にアドバイスをお願いします。

 海外での学習する場合には、事前にスケジュールをしっかりと立てることをお勧めします。レポート提出のためには必要な参考文献を事前に入手しておかなければなりませんし、折角レポートが合格しても科目試験を受けるのが何ヶ月も先になってしまう、ということもあります。日本での学習以上に勉強する環境が厳しいことを自覚して、計画的に勉強するという強い意志が必要と感じています。一方で、海外生活を送ることによって日本の法律を日本にいる時以上に意識することもあり、海外の法律との比較によって学習内容がより実感を持って感じられることも多い様に思います。日本での学習以上に孤独な環境ですが、日々感じる日本との違いを上手く勉強に繋げていければ、より興味をもって学ぶことが出来るのではないでしょうか。