卒業生の声 高橋 祥 さん
卒業後アメリカロースクール(LL.M.)を卒業し修士号(LL.M.)を取得。
入学:2007年10月(3年次編入学)
卒業:2010年9月
就学時:20歳代
居住エリア:東京都在住
職業:商社(法務部)
(2016年10月掲載)
卒業:2010年9月
就学時:20歳代
居住エリア:東京都在住
職業:商社(法務部)
(2016年10月掲載)
2013年ミシガン大学ロースクール卒業し修士号(LL.M.)を取得。
現在のお仕事について教えてください。
民間企業の法務部に属しており、契約の作成・審査、法務相談、社内研修等に携わっています。
大学を卒業後就職されたばかりで、なぜ、また大学で法律を学ぼうと思ったのか教えてください。
私は法学部出身ではないのですが、法律への興味をきっかけとして、法務という職種を希望して就職活動をしました。入社した会社では幸いにも法務部に配属されましたが、身につけるべきことの多さに驚いたのを覚えています。入社前は意欲的に独学すれば大丈夫と思っていましたが、体系的な勉強が必要かなと思ったのがきっかけです。
なぜ「体系的な勉強が必要」と感じたのか教えてください。
業務において直面する問題を理解し、結論を導くには、その問題に関する判例、学説上の対立、法律の制度趣旨、さらには関連する国内外の法律といったことの理解が必要であると感じました。つまり、1つの問題に対して理解していなければならないことが、芋づる式にみつかっていったわけです。このようなことをスピーディーに、かつ、正しく理解するには、独学に並行して、一度、誰かに体系的な教えを乞うことが必要だと思いました。
中央大学を選んだ理由を教えてください。
候補は何校かありましたが、昔から「中央の法科」は有名でしたし、勉強するなら良質な環境下で、と思っていました。入学説明会で親身に対応していただいたことも中央大学を選んだ理由です。
レポートなどの履歴を見せていただくと、最初の1年間はあまり学習が進まなかったようですが、退学しようとは思いませんでしたか?
新入社員の年に大学に編入したので、やはり最初のうちは仕事で手一杯となり、レポート作成の余裕がありませんでした。ですが、4年(通学生が卒業までに要する期間)以内での卒業を目標に設定していましたし、仕事を覚えるにつれて大学の勉強も進むと思っていました。一度決めたことは必ずやり遂げたかったので、退学しようと思ったことはありませんでした。
1通目のレポートを書くまでどのように取り組まれましたか?
教科書や、レポート課題集にある参考文献を基にしていることは当初から今まで変わっていませんが、当初は「レポートの書き方、論理構成」という形式面で特にご指導いただいたことを覚えています。また、「問題の所在、判例、学説の状況、自説展開」と論理的に構成して書いたつもりでも、そもそも問題の所在の把握が不足していることがありました。それまでは論点と思われる部分だけ教科書・参考文献を読んでいたのですが、他の関連する部分を視野に入れないと正しい把握はできないのだなと感じました。
2009年秋頃からは数多くレポートを提出されているようですが、学習のペースをつかむきっかけや目標、考え方の切替えなどがあったのでしょうか?
仕事を少しずつ覚えてきたのをきっかけに、大学卒業までのスケジュールと学習方法(次の質問への回答です)の見直しをしました。会社内の年次が上がると担当業務の規模も大きくなり、それこそ大学の勉強に注力することも難しくなると思ったので、編入から3年後の2010年9月卒業を目標に掲げて気を引き締めなおしました。
1日、1週間もしくは1ヶ月の学習のペースを教えてください。
平日は、帰宅後だと仕事の疲れからか効率も悪いので、朝に集中して勉強するよう心がけています。具体的には、会社近くのカフェで7時から1時間半の勉強時間を必ず確保するようにしています。
休日は、必ず複数の科目(大体3つ)を同時並行的に勉強しています。1つの法律を何時間も勉強するとどうしても飽きや疲れを感じるので、1時間毎に勉強する法律を変えています。レポートは主に休日に書いており、1日1通のペースが通常ですが、試験前は3~4通書くこともあります。
平日と休日はやることを棲み分けるようにしています。平日は、1時間半の中で学習済の法律科目の論点の整理・研究を進め、休日は、時間がとれるので新しい科目を俯瞰するようにしています。
教科書や参考文献、判例百選等を読むときは、複数回読む際にわかりやすいように、「問題の所在、判例、学説、筆者の自説展開」をそれぞれ色分けしてマーキングし、視覚的に論理展開を把握するように工夫しています。また、常にその法律の中の位置づけを意識するために目次を頻繁に参照しています。
夏期スクーリングを受講されていませんが、やはり1週間という時間の確保は難しいですか?
時間の確保が難しいという点もありますが、短期スクーリングの方が自分には合っているように感じています。短期スクーリングは全国各地で催されるため、小旅行も兼ねることができ、気分転換にもなることが主な理由だと思います。
短期スクーリングなどでお仕事を休む場合など、職場の理解はありますか?
はい、あります。勿論、可能な限りの業務調整をした上で休むわけですが、職場の方々の理解の上で勉強させてもらっていること、感謝の気持ちを忘れないようにしていますし、そのような気持ちを持って短期スクーリングに臨んでいます。
オンデマンド授業を受講した感想をお聞かせください。
対面のスクーリングに比べると臨場感は薄まりますが、比較的場所を選ばずに、個人のペースで学習を進められることが非常によいと思います。今後、対象科目が拡大することを望みます。
科目試験で単位を修得するのは難しいという話をよく聞きますが、そういう感覚はありますか?
幸いなことに科目試験で不合格になったことがなく、そのような感覚はありません。むしろ、科目試験の受験資格(=レポート4通合格)を得るまでが非常に大変だと感じています。個人的には、科目試験よりもレポート課題の方がより高い理解力を求めているように感じられます。また、添削期間から逆算してレポートを合格させる必要があり、時間と勝負しなければならない側面もあります。そんな中で鍛えられたためか、科目試験は堂々と受けることができているようです。
学生時代の勉強とは何が一番ちがいますか?
学生時代に比べると時間に制約がある中での勉強のため、より集中して取り組む必要があることだと思います。ですが逆に言えば、そのような環境の中で自分なりの学習方法を見つけられたこと、高い集中力を身に付けられたことは、大きな収穫であり、今後に活かせることだと思っています。
通信教育課程に入学してはじめてわかったことや、驚いたこと、入学するまでは気付かなかったことなどがありましたら教えてください。
短期スクーリングに行くと、他の学生の方々の授業への姿勢に毎回感銘と刺激を受けます。特に、私の親と同世代か、よりご年配の方々が非常に意欲的に学ばれていて、私も負けてられないなと思います。
また、レポート指導欄に書かれたインストラクターの方々のコメントや、短期スクーリングでの先生の講義から、独学だけでは至ることの難しい法律の体系性・深み・趣旨を感じられることが多々ありました。
また、レポート指導欄に書かれたインストラクターの方々のコメントや、短期スクーリングでの先生の講義から、独学だけでは至ることの難しい法律の体系性・深み・趣旨を感じられることが多々ありました。
今後の目標を教えてください。
教科書にある法律知識と実務とは必ずしも一致しない場面もあるかと思いますが、実務においても体系的な考え方や趣旨の把握は必ず活きるものと思います。そのような法的思考を身に付け、より高みに向かうことができればと思います。
(2013年ミシガン大学ロースクール卒業し修士号(LL.M.)を取得。)
(2013年ミシガン大学ロースクール卒業し修士号(LL.M.)を取得。)