卒業生の声 匿名 さん
民法、会社法等を学ぶ上で、実務におけるリスクをより詳細に分析できるようになったと思います。2022年司法試験合格。
入学:2014年10月(3年次編入学)
卒業:2018年3月
就学時:50歳代
居住エリア:東京都在住
職業:会社員
(2022年10月掲載)
卒業:2018年3月
就学時:50歳代
居住エリア:東京都在住
職業:会社員
(2022年10月掲載)
他大学法科大学院修了を経て2022年司法試験合格。外資系企業勤務
司法試験合格おめでとうございます。いつごろから司法試験合格を視野にいれていましたか?
私が働いている外資系企業の法務部では、米国本社、他の国の関係会社においては、弁護士資格を取得したインハウスの人間が多く働いています。各国の法務部の人間と仕事を一緒にする機会があり、彼ら、彼女らと働いているうちにやはり弁護士資格を持っていたほうが将来のキャリアの視点からもよいと考えるようになりました。
当初は、日本の弁護士資格でなくとも、米国のどこかの州の資格のほうが短時間で取得できると考えていました。いろいろ調べるうちに、通信教育課程の在学中に、日本の資格を取得することが一番の早道だとの結論に至りました。そのため、最終的に司法試験の合格を目標にして、通信教育課程を卒業後、法科大学院進学の道に進むことを決めました。
法学部ではない学部を卒業され本課程に編入学されました。法律を本格的に学んだのは本学ということになりますが、他大学のロースクール(未修コース)に進学されたとき、他の学生との(通信制と通学なども含め)違いや本課程で学んだメリット・デメリットなど、感じたことを教えてください。
私が通信教育課程を卒業した後で入学した法科大学院のコースは、未修コースでした。その中には、法学部出身者、司法試験の予備校等で法律の勉強を既に始めている人、そして法学を全く勉強したことがない「純粋未修」と言われる学生、という異なるバックグラウンドの学生がいました。その中で法学部通信教育課程出身というのは珍しかったと思います。
法学部を卒業して時間が経過しているという学生もいるなか、私の場合は法科大学院入学の直前の3月まで通信教育課程で勉強していたこともあり、例えば10年前の法学部を卒業した人に比べて法科大学院での勉強にスムーズに入ることができたと思います。具体的には、民法改正の内容等も含めて、各法律分野における判例や学説に関しての最近の動向を学んでいたという利点があったと思います。
一方でデメリットとなるかは人により異なると思いますが、司法試験の予備校とは違い、中央大学の通信教育課程は司法試験の準備という性格は必ずしも持っていないと思います。その点で、司法試験の準備のための知識、経験、練習等は改めて自分で修得する必要がありました。ただ、幸いにも法科大学院での同級生などに助けられて、この点はなんとか対応することができました。
会社で法務担当になったことがきっかけで入学されたとお聞きしました。他大学や専門職大学院、法律の資格対策講座など、他にも選択肢がある中で、なぜ本課程への入学を決意されたのでしょうか?
法学をせっかく勉強するのであれば、学位という、しっかりと形が残るものを得たいと考えました。また入学当時に検討していた米国での司法試験受験に法学の学位が必要と考えていたため、大学の法学部での勉強を決めました。
入学準備や入学の当時は、仕事もあり、また子供も小さかったこともあり、夜間や土日の通学が難しいと考え通信教育課程での取得を決めました。通信教育課程の法学部を調べて、最初に見つけたのが中央大学であり、法学教育が有名な中央大学という印象を持っていたことから、他の大学を検討することなく、中央大学法学部の通信教育課程への入学を決めました。
以前「保守的になりすぎると、せっかくのビジネスチャンスを生かせない可能性がある」とおっしゃっていました。リスクを把握したうえでビジネスでの攻めを構築するとき、法律を学んで役に立った具体的な事例がありましたら教えてください。
民法、会社法等を学ぶ上で、実務におけるリスクをより詳細に分析できるようになったかと思います。「リスク」といっても、損害賠償責任のリスク、会社等の信用性・信頼に関するリスク等、複数の形態があります。また各々のリスクが発生する可能性も異なるかと思います。関連する法律等を学ぶことで、漠然と「リスク」があるという視点からではなく、どのようなリスクがどの程度あるのかということを具体的に考える一助になり、その上でリスクを取るビジネス上の利点等を比較して検討できるようになるのではないかと思います。
司法試験合格後、振り返ってみて、本学での学びはどのような価値がありますか?心に残っている教員の授業などがありましたら教えてください。
各法律の分野について、少しですが、基本的な概念や考え方を理解できるようになったと思います。また、レポートを何通も書く過程で、講義で学んだことを整理して、それを紙の上で表現するという訓練ができたと思います。
印象に残っている科目では、刑法で言えば、只木先生の刑法総論の講義、曲田先生の刑法各論の講義があります。只木先生の講義のお陰で、因果関係、錯誤等、刑法を学び始めた学生が理解に苦労する刑法総論の抽象的な分野を、興味をもって学び、基本的なことを理解することができました。また、曲田先生の講義では、暴行罪、傷害罪、胎児に対する傷害の考え方等の説明をとても分かりやすく説明いただき、刑法各論の勉強を始めることができました。法科大学院の1年目では刑法総論、刑法各論の講義がありましたが、純粋未修者等を中心に躓く学生が多い中、お二人の講義で基本的なことの理解があったことから、とてもスムーズに刑法の勉強を進めることができました。
また、民法分野では、石口先生の演習ゼミを受講させていただき、判例をどのようなものとして理解して、何をくみ取るようにすれば良いかなどについて、自分なりにヒントを得ることができました。石口先生には、当時必須となっていた卒論作成についてもご指導いただき、論文作成の方法、手順、決まり等を少しですが理解できるようになりました。法科大学院でレポートを提出する時には、ご指導いただいたことを生かすことができたと思っています。
司法試験は合格が難しく、また法律を学ぶこと自体は、他の資格試験の学びと異なり、結果(昇進)や成果(収入)に直結するわかりやすいものではありません。それでも、本課程で法律を学ぶことを検討している方にむけて、一歩を踏み出せるようなメッセージをお願いします。
中央大学通信教育課程で学ぶ中で、いろいろな法律分野の勉強を先生方の講義を通じて分かりやすく勉強することができました。その過程で論理的に思考する力、他の人に順序立てて説明する力を、少しですが身に付けることができたと思います。それらが先生方の言われる「リーガルマインド」に繋がっていくものかもしれないと思うようになりました。
通信教育課程で学ぶ動機、目的などは、人により異なると思います。ただ、論理的に思考する力、人に説明して、説得する能力、場当たり的な価値観ではなく、法律、判例等から導かれる規範・価値観に基づいて思考・判断する、といったことは、中期的、長期的に見て生きていくうえで様々な場面で役立つ可能性があるものだと思います。それらを学ぶ、身に付ける上で、通信教育課程で学ぶことは多くの人にとり、きっとプラスになるのではないかと思います。