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RESTUDY

卒業生の声 田口 聡 さん


厳しいと言われる中央大学で卒業まで辿り着けたことは、自分自身大きく成長できたと思います。中大で法律を学び、「勉強をする」ということがどういうことかわかりました。これは自分の人生で、何物にも代えがたいとてもとても大きなものです。

入学:2022年4月(3年次編入学)
卒業:2024年3月
就学時:50歳代
職業:行政書士
居住エリア:東京都在住
2012年から10年間の在籍を経て、2022年に再度の入学。(2024年5月掲載)

中大通教で法律を学ぼうと思ったきっかけを教えてください。

 行政書士資格取得の予備校で授業初日。「君は六法も持ってこないで授業を受けるのか?」といきなり怒られ、「六法って何ですか?」などと質問していた自分が5年かけてやっと合格。意気揚々と業務に取り掛かると「なぜそうなる?」という疑問が勃発する。「結果は知っているけど、プロセスや根拠はよくわからない」、つまり法的思考力が身に付いていないという状況でした。 これはどうしたものか。もっと根本的な基礎を学ばなければならない。そのためにはどうすればいいのか、と思い悩んでいる時、郵便局で全国の通信制大学が紹介されたパンフレットを見つけました。「ああ、大学ねえ」と、とりあえずパンフレットを持ち帰りました。

 やってはみたい。ただ、今さらです。当時40代前半。20年前にすべきことを今さらです。時間やお金の無駄になったりしないだろうか? 仕事やプライベートがあり、加えて勉強なんて出来るだろうか? いやいや。そもそも大学にまで行く意味があるのか? と自問自答を繰り返していました。

 税理士である父と弟に「通信制大学ってどう思う? 今さら出来るかねえ?」と相談したところ、「通信、良いじゃないか。その気になったなら行った方が良い。法律なら中央大学一択」と即答され、他を検討することなく、中央大学に行くことにしました。

レポート学習に取り組まれた感想を教えてください。

 当初、まだ行政書士試験の知識があったので、「何とかなる」と思っていました。 何とかなりませんでした。教科書を読んで、レポート課題に取り組む。これがとてつもなく難しい。課題の趣旨がわからない。法律文章なんて書いたことがないから、何をどう書けばいいのかわからないのです。 打たれ弱いので、真っ赤に添削がなされた不合格レポートが返ってくるたびに落ち込み、二度と見たくないと思いました。特に「経済法」は内容もコメントも厳しく、「こりゃ無理だな」と諦めかけました。それでもご教授いただいた箇所を中心に何度も書き直し、合格した時はどの合格レポートよりも嬉しかったです。合格はしたものの「なぜでしょう?」「どうしてですか?」「違いは?」「なぜ?」「どういう意味ですか?」と、合格が疑惑に包まれるほどたくさん指摘されました。それは自分の理解不足な点であり、そのせいで上手く伝えられていない点でした。レポートは合格してしまったので、インストラクターの先生に答える機会はもうありません。参考書等を使って、レポートに書き留めました。

 合格したからと言って、学習は終わりじゃないことを思い知らされました。

レポートはどのくらいのペースで作成、提出していましたか?また、平均的な学習時間を教えてください。

 入学当初こそ、「2年で卒業、年間40単位以上取得」などと壮大な目標を定め意気込んでおりましたが、レポートに苦戦し、いきなりくじけました。自分の能力と時間では、せいぜい年間4科目16単位ぐらいしか取れないとわかりました。

 そこで、年度の最初に配布されるスクーリング予定表とシラバスから、年間の受講4科目を決め、そのスクーリング申込み期間終了までにレポート合格を目指していきました。スクーリングを受講するにあたり、「レポートの後出しは絶対しない」と自分でルールを決めていたからです。申込み期間終了までに合格出来なかったら、残念ながら次の機会に持ち越しにしました。

 なので、レポート作成中は、平日2時間くらい、休日は1日中。それをレポート合格まで続け、スクーリングが終わって次まで間が空くと、まったくやらないといった感じでした。

スクーリングの受講科目や科目試験の日程など、スケジュールはどのように決めていましたか?

 法律には学ぶ順番があるので、シラバスを読みながらその順番を一覧にし、その年のスクーリング予定表を見ながら、地方スクーリングを中心に受講科目を決めていきました。

 地方スクーリングを中心にしたのは、行ったことのない土地に行けるからという旅行気分でした。しかし、法律科目はどの科目も膨大です。それをたった3日間で終わらせるのですから、ものすごく疲れます。最終日には試験があるので、講義終了後もカフェやホテルでひたすら復習に勤しみました。遊んでいる暇は一切ありません。ただ、知らない土地に放り込まれるので余計な雑音や誘惑は断ち切れます。あながち間違いではなかったと思います。

受講したスクーリングの中で印象に残っている科目を教えてください。

 どのスクーリングも熱のこもった講義で印象的でした。通学生の皆さんはいつもこういう講義を受けているのか、羨ましいと思っていました。

 その中でもあえて挙げるとしたら、柴原宏昭先生の「民法2(物権)」です。物権は初期に学ぶべき科目ですが、謎の用語が頻出します。占有権や先取特権など当事者にならないと実体がよくわからず、想像で補っている部分が多分にありました。にもかかわらず、ものすごくわかりやすかったです。もやもやしていた部分がすっきりとクリアになり、おかげで教科書も判例集も読みやすくなりました。多摩のスクーリングではいつも講義終了後図書館に行って閉館まで復習していたのですが、その時間も苦ではなく、真っ暗なキャンパスを充実した気持ちで帰れました。

 先生が講義の最後に、物権なんてつまらない科目なのに講義を受けてくれてありがとうといった旨の挨拶をされていたと記憶しています。つまらなくなかったです。柴原先生のおかげで物権はとても興味深い科目になりました。

2012年から10年間の在籍を経て、2022年に再度の入学から最短の2年間で卒業されています。その間の学び方や意識に変化はありましたか?

 行政書士試験と重複する科目は意外と理解できたので、「4年ぐらいで卒業できそうだ」と父に進捗状況を伝えると、「卒業式には必ず行くから」と喜んでくれていました。

 ところが、重複しない初めての科目に大苦戦。これまでの勉強方法では太刀打ちできず、計画が頓挫しまくりペースがガクンと落ちました。さらに父が亡くなりました。卒業式に連れて行くことが叶わなくなり、やる気がなくなっていきました。このままのペースでは除籍は確実。やる気もどんどん失せていくので、退学しようと思いました。

 しかし、退学手続きを調べていたら、自分の勘違いで在籍できる期間がまだ2年あることがわかりました。残り24単位。まだ間に合うかもしれない。ただし初めての科目ばかりで24単位6科目。かなりキツいと思いましたが、もう一度計画を練り直し、残り2年に懸けました。

 除籍前最終年。この単位が取得できれば卒業というところまで漕ぎつけました。しかし、試験で真逆のことを書いてしまい、提出後にそれに気付き、あえなく撃沈。除籍通知が届き、やっぱり自分には無理だったか......、とかなり落ち込みました。

 その除籍通知に【「再度の入学」ご案内】と記載されていました。ためらうことなく再度の入学。

 とにかく丁寧に教科書を読み、わからない箇所もそのままにせず、参考文献にあたって理解に努めました。レポートはA評価を狙って、何度も下書きを書いて直して、講義に臨みました。 最後の最後でやっと勉強方法がわかった気がします。

行政書士としてご活躍の中、中大通教で法律を学んだ事で何か変化やメリットはありましたか?

 当初目指していた「法的思考力を身に付けたい」という目的が達せられたかはわかりません。しかし少なくとも「なぜそうなる?」について、自分なりに考え、その答えの道筋を立てられるようになった気がします。

 仕事上の疑問もどの法令に当たればいいか、「なぜその書類が必要か不要か」が根拠を持って考えることができるようになり、行政機関ともスムーズに連絡を取り合えるようになったと思います。

今後の夢や目標を教えてください。

 厳しいと言われる中央大学で卒業まで辿り着けたことは、自分自身大きく成長できたと思います。中大で法律を学び、「勉強をする」ということがどういうことかわかりました。これは自分の人生で、何物にも代えがたいとてもとても大きなものです。

 取りこぼしている科目が2つ3つあります。いずれ必要に応じて、科目等履修生で取りに行くつもりでいます。

 自分の年齢だと、頭が働くいわゆる健康寿命は意外と残り少なく、10年20年かけて成し遂げられるのはあと1つか2つしかない。「あの時やっておけば良かった......」なんて思いたくないので、頭が働くうちに学びたいことを学んでいきたいと思っています。

入学を検討している方にメッセージをお願いします。

 入学を検討されているということは、ほぼほぼ気持ちは固まっていらっしゃるのではないかと思います。通教をやっていると、法律の知識が身に付くのは当然ですが、たくさんの文献に当たりますので、読解力が身に付きます。文章を書くことが苦にならなくなります。

 ただ、孤独です。何度かくじけると思います。私なんて、くじけ過ぎて、当初のやる気は木っ端みじんに砕け散りました。あんなに勉強して、懸命に書いたレポートが不合格、よく書けたと思った答案が不合格、そもそも教科書が理解できない......。加えて、仕事に家庭に予定外予想外の出来事が起こります。計画は頓挫します。昨日立てた計画は今日頓挫します。

 でも、そこから立ち上がってください。どんなに時間がかかっても、どうか、どうか必ず立ち上がってください。

 くじけても立ち上がる力が身に付きます。それも通教からの課題だと私は強く思います。
入学にあたり父は「始めるのも自分、やめるのも自分。ただし、やめたら一生卒業はできない。頑張りなさい」と言いました。今、パンフレットを前に、二の足を踏んでいた自分に言うとしたら、「やろうかなと思うならやった方がいい。無駄ではない。無駄だったと思うようなことは一切ない」と言ってあげたいです。