卒業生の声Y.N さん

「法学部卒業は、何の為/誰の為」と、自分の目的を明確にされることをお薦めします。

Y.N  さん
  • 入学:2020年4月(3年次編入学)
    卒業:2022年9月
    就学時:40歳代
    居住エリア:東京都在住
    職業:経営コンサルティング会社役員
    (2022年11月掲載)

現在のお仕事について教えてください。

 経営コンサルティング会社代表として、クライアント企業の業務改善目標を達成するために研修またはコンサルティングを行っています。

本学で初めて法律を学ばれたと思いますが、入学初期に戸惑ったことや法律を学ぶことのつまずきなどを教えてください。

 戸惑ったこと・躓いたことは、法学における単語と文章の書き方です。私は、日頃から契約書類を見ることは多く、法律家の方々が作成する文章で使われている単語と私が日常で使う単語には多少の意味の差異があることは認識していましたが、具体的にどの単語に差異があるかまでは意識していませんでした。また、各教科の指定教科書はすでに文章として整っているものでしたので読み進める段階では特に違和感は感じていなく、いざレポートを書き、添削して頂く時にようやく単語の使い方や文章の書き方を直す必要性があることを自覚しました。入学初期は書いても書いてもレポートが合格せず、問いの理解・回答の内容や書き方、どこをどう直せば良いのか半ば絶望気味になった時に文章の書き方の参考書を手に取り、いかに自分の文章に改善点が多いのかに気付きました。

レポート作成で苦労したこと、印象に残っているインストラクターからの指導をお聞かせください。

 レポート作成で苦労したのは、教科書や判例集等に書かれた内容を指定文字数以内にまとめる作業です。入学初期の頃は必要な箇所を全て見つけられておらず、見つけた箇所だけをまとめても文字数が全く足りなかったので無駄に文字数を増やす作業をしていた気がします。ある程度慣れた時期からは逆に書きたい事が多くなり、それに比例して文字数が増えてしまい、指定文字数に収まらないことが増えました。いずれの時期・レポートでも、インストラクターの方々からの指導を素直に受け入れた結果、分かりやすい簡潔な内容で文字数もちょうど良くなりましたので、毎回インストラクターの方々の指導レベルの高さに感服していました。

振り返ってみて、学習方法についてのポイントを教えてください。

 学習方法は最後まで試行錯誤はしていましたが、どの教科書でも最低3回は読んでいたと思います。1回目は何も分からないですがとりあえず読む、2回目はレポートの問いを横に置いて読む、3回目は過去の科目試験問題の問いを横に置いて読む、です。当然ですが、レポートも科目試験も全ての章や判例が題材になることは無いので、(今だから言えますが)省力・効率だけを意識して本の目次を見て該当しそうなページだけを読んでいました。しかしレポート添削時に私が読んでいたページをどう読み返しても書かれていない内容の指導があり、問いを理解する為に本当に必要な情報は別の所にも書いてあるのだと気付きました。それ以降、全ての教科書は前述の読み方で最低3回は読むようになりました。

単位修得のための科目試験とスクーリング試験の両方を受けて卒業されましたが、この二つの方法の違いやポイントなどを教えてください。(取材当時はコロナ過により試験はオンラインで実施)

 まず両方を受けたのは、科目試験当日の負荷を軽減させる為です。科目試験は時限間の休憩が短いので次の科目の直前復習には時間が足りず、また休憩が短いことで途中からパフォーマンスが落ちる(頭が回らなくなる)と想定していました。よって科目試験当日の負荷をなるべく減らす為に、スクーリング試験を併用することを決めました。
 科目試験は過去問を見る限り、その教科における著名な論点または最近の論点が取り上げられることが多いと感じていた為、教科書や判例集をある程度(特に判例集の冒頭に記載の判例など)読むことで準備は足りると思っていました。スクーリング試験はスクーリング時に担当教員の方が意識的に多めに説明された部分が取り上げられることが多かったので、スクーリングを受けながらテキストにメモを付け、その後教科書や判例集で該当箇所を確認していました。
 どちらの試験でも、教科書や判例集、配布されたテキストの中から、問いの論点が書かれたページにいかに早く辿り着き、いかに早く頭の中でまとめ、いかに早くキーボードを打つか、の3点が時間内に回答するポイントなので、それぞれを早くする練習はしておく必要があると思います。なお私は普段から本や雑誌等を読み、それをドキュメントにまとめる作業をしていますので、上記2つめと3つめはそこまで苦労しませんでした。

法律を学びお仕事で役に立ったことを教えてください。

 今までもこれからも、仕事上で扱う法律関連書類は弁護士や社労士など、顧問の方々に作成して頂きますが、入学前と比べて契約書における各条項を深くよく読むようになりました。例えばクライアントが作成した業務委託契約書における知的財産や損害賠償に関わる条項です。また、税関連は該当の通達番号や通達が記載されたページを税理士から共有していただくなど、今までは見なかったソースまで確認し、疑問があれば顧問の方々とディスカッションしています。

入学を検討している志願者の方にメッセージをお願いします。

 志願者の方に伝える前に、在学中の過去の私に伝えたいのは、スクーリング申込期間と払込期間、科目試験受験の為のレポート合格期限、科目試験申込期間を、毎日目にする場所にしつこく書いておきなさい、という事です。私の卒業が目標よりも半年延びた(当初は2022年3月卒業を目指していましたが、実際に卒業したのは2022年9月です)のは、レポートが合格しなかったのではなく、4年次の11月試験の申込を忘れた為です。スクーリング試験を併用していたとしても、スクーリング試験は全ての科目はありませんので、科目試験で合格しなければいけない科目が沢山あります。しかし、1回の(たった1回、されど1回の)申込を忘れたことにより、2022年1月の科目試験の受験/合格だけでは卒業に必要な単位が足りず、2021年11月の時点で2022年3月の卒業が出来なくなりました。こんなミスするのは私だけかもしれませんが期限は常に意識しましょう。

 さて、志願者の方々にコメント致しますと、前述の法学における単語と文章以外に、時間の確保は避けて通れないものです。私は平日は子供達を寝かしつけたあとの2〜3時間、週末は土日のどちらか8時間、これを約1年半継続しました。卒業までにかけた時間が多ければ卒業するものではないですが、スクーリングに参加しないとしても、教科書・参考書・判例集を読み理解する時間、レポートを書く時間、試験の準備をする時間を考えると、それなりに時間の確保は必要です。特にもし最短(私のような3年次編入ならば2年)で卒業を目指すならば、纏まった時間を短期間に集中的に確保しなければなりません。その為には、自分を律する(眠気に負けず、気分やテンションにも負けず)ことが必要で、もし家族がいらっしゃるならば家族の理解と協力も必要かと思います。これは断言出来ますが、私が卒業まで行動を継続出来た(レポート不合格が連発してイライラしていても気分を入れ替えてレポート修正できた)のは、妻の理解・協力・励ましがあったからです。妻には感謝してもしきれません。
 最後に、「法学部卒業は、何の為/誰の為」を明確にしていないと、学んでいる最中に心が折れる気がします。通学課程と違い通信教育課程は一緒に目指す仲間を見つけにくく、学ぶペースも自分次第です。目的が無いまま気楽に進めるほど、中央大学法学部は優しい道ではありません。入学願書提出時や入学時に目的が明確で無かったとしても、在学生や卒業生、または他大学も含めた法学部卒業生達がどのような意思を持って法律を学び、卒業後は何に活かしているのかを参考にし、自分の目的を明確にされることをお薦めします。