卒業生の声三瓶 信子 さん

学習意欲は年齢に関係なく、大切なものであると考えています。
私の法学の学習は始まったばかりです。

三瓶  信子  さん
  • 入学:2018年4月(3年次編入学)
    卒業:2021年3月
    就学時:60歳代
    居住エリア:東京都在住
    職業:パートタイム(就学時)
    (2021年9月掲載)

入学の動機を教えて下さい。

 2013 年に母が亡くなりました。このことが「私の残された時間をどのように過ごすか」をより具体的に考えるきっかけとなりました。当時の私は、週3日ほど都内の大学病院で医療関係の仕事をパートでしながら、家事、子育て、介護などをしていました。
 母の死後、煩雑な事務手続き、後継ぎのいない実家の清算を終えると多少時間的な余裕が生まれました。そこでこれまでできなかった趣味の音楽、頭の老化防止に以前から興味のあったファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得するための学習を始めました。ちょうどこの頃、学生時代の友人から届いた年賀状の「芸術大学の聴講生(通信制)になりました」という文面と自身の作品と共に微笑む写真が目にとまりました。もともと生涯教育には関心があったため、通信教育ならもう一度学生になり、学び直しができるのではないかと考えるようになりました。とはいうものの一体何をどこで学び、学んだことをどのように将来につなげていくか、記憶力、集中力が低下していく中で最後までやり通せるのか悩みました。そこで以前から興味があり、FP の資格試験でも触れた法律を学んでみようという結論に達しました。結論は出ましたが、最後の一歩が踏み出せず、最終的に私の背中を押したものはあの「人生を変える8万円」という中大通教の広告のキャッチコピーだったと記憶しています。

新型コロナウイルスの影響で、2020年度は学習環境が大きく変化しました。卒業間際の大きな変化にどのように対応されましたか?

 2020年3 月にパートの仕事を定年退職しました。時間に余裕ができたことから、できるだけスクーリングに出席するべく予定を立てていたところ、コロナ禍でスクーリングが次々休講となっていきました。
 さらに、いつも利用していた区立図書館でも自由な閲覧ができなくなりました。本を借りる際にはあらかじめ申し込みをしたうえで、連絡を待って後日取りに行くシステムに変更となり、参考文献の入手に通常より時間がかかった時期がありました。
 スクーリングについては、オンラインの形式で多くの科目が再開されることとなり、本当に助かりました。オンラインスクーリングはパソコンの操作に精通しているわけでもない私でも、マニュアルに従い、問題なく受講することができました。質問はチャット機能を使用してできましたし、担当教員は対面授業と同様に丁寧に解説されていました。人の移動が制限されている中、学生にとっては移動時間なく学習できたことは利点であったと思います。

オンデマンドスクーリングを活用して、どのように学習を進めましたか?

 オンデマンドスクーリングの受講に際しては専用のノートを作り、見開きの左の頁には授業の内容を、右の頁は白紙にして、復習や科目試験用にまとめを書き込むなどしました。また夏期・短期スクーリング受講の予習としてメディア教材を使用したこともありました。やはり専用のノートを作り、右の白紙のページは授業時の書き込み用としました。スクーリング試験に手書きのノート持ち込み可の科目もありましたので、このときは大いに役に立ちました。また授業のレジュメはとても有効な資料になりました。

科目試験の対策はどのようにされていましたか?

 定期的に送付される科目試験問題の過去問から、複数回出題されている問題を中心に、解答を1,000字~1,200字程度の文章にまとめました。私の場合は文章の書きだしに苦労していましたので、あらかじめ文章を作成し加筆修正する形で復習をして試験に臨みました。

一番印象に残っているスクーリングを教えてください。

 2018年度の夏期スクーリングで受講した新井誠先生の「民法1(総則)」です。今思い起こすと恐ろしいことですが(笑)、通教に入学したものの学習方法も分からず、なんの予習もせず、もちろんレポートも書かず、とにかく受講してみてから学習の方針を立てようと思い出席したスクーリングでした。先生の講義はユーモアを交えて要点を説明されていたので、緊張した状態で初めて法学を学ぶ私にとってはリラックスして興味深く拝聴することができました。

体系的に法律を学ばれて、入学前と卒業後でご自身にどんな変化がありましたか?

 私たちの生活は法律により守られていますが、その法律も万能なものではないこと、社会情勢により解釈が変化するものであることが理解できるようになりました。たくさんの法律の上に成立している社会では、法律の知識の有無によりその後の展開に大きな影響があるのではないかと考え、その重要性を再認識しました。

中大通教で得たものを教えて下さい。

 月並ですが、「目標に向かい努力することは大切である」ということです。3年次編入学した当時は、法律用語の意味がわからず、それ以前に読めない漢字もありました。当然教科書の内容も理解できず、レポート作成にも時間がかかり、仕事をしながらの学習でもあり、泣きそうな日々が続きました。しかし、一度始めたことを投げ出すのは良くないので気を取り直し、試行錯誤しながら学習をするうちに辛さは薄れ、一つの目標である卒業が実現しました。中大通教は誰でも、いつからでも始められますが、孤独で辛い場面もあり、卒業は容易なものではないと実感しました。少し前まではレポートは手書き、卒業論文も必修だったことを思うと、1年次から入学され、卒業された方々の学習意欲には、頭が下がります。学習意欲は年齢に関係なく、大切なものであると考えています。

今後の夢や目標を教えてください。

 卒業という形で一応の区切りとなりましたが、私の法学の学習は始まったばかりです。学習会に参加するなど、折に触れさらなる知識を積み重ねていきたいと思っています。資格試験に挑戦してみるのもよいかとも考えています。