卒業生の声平田 慎二 さん

「中大通教に入らなければ、司法試験を意識することは全くありませんでした。」特許庁在職中に、中大通教へ。2015年に司法試験に合格し、現在は弁護士として活躍中。

平田  慎二  さん
  • 入学:2010年4月(3年次編入学)
    卒業:2012年3月
    就学時:20歳代
    居住エリア:東京都在住
    職業:弁護士(在学時は特許庁勤務)
    (2020年2月更新)
    2012年4月他大学法科大学院入学。2015年司法試験合格。現在は弁護士として活躍。

法律を学ぼうと思われたきっかけと、中大通教への入学を決めた理由を教えてください。

 特許庁に入庁して、仕事上法律に携わる機会が増えましたが、大学では電気電子工学を専攻しており、理系出身だったので、法律を学問的に勉強したことはありませんでした。行政官として仕事を続けるのであれば、法律を体系的に学ぶ必要があると考えていました。しかし、自学自習で進めた場合、学習成果に対する客観的な評価に欠け、なかなかモチベーションが上がらないため、何かきっかけが必要だと考えていました。もちろん、動機付けという点では資格試験という選択肢もありましたが、テクニック重視の勉強よりも、法学部における体系的な学習を通じて、リーガルマインドを養いたいと思い入学を決めました。 また、職場に中央大学の通信教育課程を卒業した方々がたくさんおられたことや、学士(法学)というかたちで自分の学習成果が残るということも後押しとなりました。

特許庁にお勤めの時代に、お仕事と、通教の学びとの関わりはありましたか?

 特許庁時代に仕事のうえで大いに役立ったことは、学習を通じて得られた法的思考力だと思います。特許庁における業務に関連する法律は、いわゆる産業財産権法ですが、行政法はもちろん、民法、刑法、民事訴訟法が関わってきますので、それらを学ばなければ本当に理解したことにはなりません。基礎から法律を学ぶことによって、産業財産権法に対する理解も深まったと感じています。特に、産業財産権法は頻繁に改正されており、新しい判例も毎年出ていたので、改正法や新判例を理解する際に、中大通教で養った法的思考力が役に立ちました。 また、レポート作成において論理的な文書を書く能力を養うことができますので、仕事上の文書作成にも大いに役立ちました。

卒業され、ご自身に変化はありましたか?中大通教で得られたものを教えてください。

 学士(法学)を取得できたことで自信がつきました。また、法律の第一人者の教員の方々の講義を受けることができ、話の端々から法律に対する考え方、捉え方を学ぶことができ、法律の勉強を続けていく上での道標となりました。 中大通教に入らなければ、司法試験を意識することは全くありませんでしたし、弁護士になろうとは夢にも思っていませんでした。中大通教が弁護士になるきっかけになりました。

中大通教での学びが、法科大学院への進学、司法試験の受験において活かされたことはありましたか?

 レポートや卒業論文を作成したことにより、法律文書の書き方の基礎が身に付きましたので、司法試験に大いに役立ちました。レポートを作成されている在学生の方であれば分かると思いますが、レポートに書きたいことを全て書いてしまうと、文字制限をオーバーしてしまいます。そこで、文字制限に収まるように、自分の考えを簡潔にまとめる必要があります。司法試験でも、自分の考えを簡潔に記すことが要求されますので、レポートで練習したことが司法試験に直接活かされます。

法科大学院では、大学通信教育課程出身に対して周囲の反応はありましたか?

 私の通っていた法科大学院では、中央大学出身の先生もたくさんおられましたが、通信教育課程に対する反応は好意的なものでした。また、学生の間でも通信教育課程に対する偏見はありませんでした。中央大学の通信教育は知名度もありますし、働きながら卒業することができれば、むしろ評価されるのではないかと思います。

仕事をしながらの司法試験勉強はどのような毎日でしたか?一日のスケジュールを教えてください。

 平日は、早朝に少し勉強をした後、夕方まで仕事をしていました。19時開始の法科大学院の授業に間に合うように職場を退勤し、22時まで授業を受け、自宅に帰って復習をします。休日は、5、6時間勉強をしていました。

司法試験についてお聞きします。択一式と論文式の試験にそれぞれどのように対策をとられましたか?

 私は夜間の法科大学院に通っていましたので、一番の試験対策は授業でした。授業で扱った判例をよく読んだり、レポートを作成したりすることで、自然と力が付いたと思います。授業以外の対策としては、択一過去問を数回解きました。択一はこれだけで十分だと思います。論文対策としては、市販の演習書をなるべく多く読みました。複数の演習書を読んでいると、何度も同じ論点がでてきますが、何度もでてくるということは、その論点が重要だと判断できます。しかも、何度も読んでいるため、頭に定着しやすくなっているので、重要な論点であればあるほどよく覚えることができます。また、多くの問題に触れることで、自分の知らなかった細かい論点もほとんどカバーすることができるので、どんな問題がきても対処できる自信がつきます。

「働きながら学習を続けられるか...」不安を感じている志願者の方に向けてアドバイスをお願いします。

 仕事をしていると勉強の時間を確保することは困難ですが、昼休みの30分でもいいですし、就寝前の1時間など、少しの空き時間を毎日確保できれば、学習を続けていくことができます。また、法律は大人のための学問としての要素が大きいと思います。社会人としての経験があればあるほど、法律に対する興味が大きく、理解も早いと思います。卒業に至るまでは簡単なことではありませんが、苦労しただけ、自分の糧となり、自信につながると思います。人生において勉強を始めるのに、遅いということはありませんので、是非入学されることをお勧めします。

現在のお仕事について教えてください。

 現在所属している弁護士事務所では主に知的財産権に関する案件を取り扱い、訴訟を多く手がけております。私も入所当初から特許権侵害訴訟、審決取消訴訟等の専門的な事件を担当しております。また、特許庁における経験を活かして、特許の無効調査や侵害調査なども担当しています。特許調査は専門的な知識や経験が多く求められる分野ですし、特許庁の審査官を経験した弁護士は珍しいと思いますので、これまでの経験が役立っていると実感できています。

弁護士としての夢や目標を教えてください。

 企業から信頼される弁護士になることが目標です。知的財産権に限らず、企業法務の幅広い知識が求められますので、特許庁での経験を活かしながら、法律家として弛まず研鑽を積んでいく所存です。