在学生の声橋本 和輝さん

説得力のある主張を展開するためには、広く深い学問的な基盤が必要。法律の面白さの虜となり後戻りできなくなってしまいました。

橋本 和輝さん
  • 入学:2013年10月(3年次編入学)
    就学時:40歳代
    居住エリア:鳥取県在住
    職業:自営業

IT関連企業経営を経て行政書士・社会保険労務士・司法書士資格取得。2012年法律事務所開設。

法務事務所を開設し、さらに大学に入学されたのはなぜですか?

 開業前から多少の法律知識はあったのですが、それは資格取得のため、あるいは実務のためのもので、学問としての法律は一度も学んだことがありませんでした。法律家を名乗る以上、このままではよろしくない、本格的に法律を学びたいと常々考えていたところ、ある懇親会で同席した地元の先輩司法書士が中央大学の通信教育課程に在籍されていて、詳しくお話を伺い、これなら仕事と両立できると思って、すぐに入学しました。

以前はソフトウェア開発会社を経営されていたそうですが、行政書士、社会保険労務士、司法書士の仕事に転換された理由を教えてください。

 創業して10年ほどが経ち、おかげさまで会社も軌道に乗り、経営も安定していました。そんなときに最初の子供が生まれたのですが、子供の成長というのは本当に早いものですね。昨日できなかったことが今日できるようになる。もちろん親として嬉しいことですけれども、それ以上に当の本人がとても嬉しそうで、誇らしそうなのです。その姿がうらやましく、自分も何か新しいことに挑戦したいと考え、どうせやるならと経営にも役立つ法律の勉強を始めました。ところが、具体的な目標として設定した資格をいくつか取得しているうちにその面白さの虜となり、後戻りできなくなってしまいました。もちろん会社経営もやめたわけではありませんが、さすがに社長のイスは譲り、今は裏方に徹しています。

本学で学ぶことと、実務とのギャップを感じることはありますか?

 登記申請でも、社会保険手続でも、許認可でも、実務は基本的に判例・先例にガチガチに縛られます。極端にいえば、これらを疑ってみたところで得るものはないのです。納得のできない運用について役所に抗議をしたところ、「そんなことを気にするより早く仕事を進めた方が良いですよ。先生も忙しいのでしょう?」との助言をいただいたこともあります(笑)。こうした環境に慣れているものですから、まさに補助教材『白門』でインストラクターの山本高子先生が指摘されているように、無意識のうちに「判例を所与のものとして」レポートを書くことになります。そうすると、「なぜ判例の立場を支持するのかが不明である」「あなたの意見が書かれていない」という指導を受けるわけです。そこで、大学では、既存の判例を当てはめるだけではなく自分の頭で考え次の判例を作る能力、さらには新しい法そのものを作る能力を養っているのだ、と考えをあらためました。ですが、習慣というのは恐ろしいもので、いまだに判例というだけで何となく正しいような気がしてしまい、そちら寄りの意見に傾きがちです。

お住まいの鳥取はどのようなところですか?

 私は元々県外の人間ですが、こちらへ移住して来るまで、西日本は温暖な地域だという印象がありました。ですが、鳥取は意外に雪が多く、冬場の雪かきはかなり大変です。もっとも、雪遊びができるので子供達は大喜びです。夏には毎日のように虫を捕ったり魚を捕ったりできますし、自然豊かで、子育てにはとても良い環境だと思います。近くに海も山もありますから、あまりお金をかけずにいろいろな遊びができるのもありがたいところです。マムシやスズメバチのような危険生物が自宅の敷地内にまで入り込むのは困りますけどね。

東京でスクーリング受講した場合にかかる費用はどのくらいかかりますか?

 飛行機で往復して3泊すれば、それだけで7~8万円程度でしょうか。当日移動では間に合いませんので、前泊必須なのがつらいところです。また、旅先では必ず毎晩繁華街に出かける習性がありますので、飲食費が相当にかかります(笑)。

2年目は学習計画を立てるにあたって、10月入学生ならではの立場で工夫されたことはありますか?

 10月入学ということはあまり意識したことがありません。導入教育は別として、最初のレポートを提出したのは翌年の5月頃でしたので、実質的には4月入学のようなものです(笑)。というのも、はじめから完璧なレポートを作成しようとしているうちに半年経ってしまったのです。遠回りしてしまいましたが、レポートが不合格で返ってきてからが本格的な学習の始まりだと開き直って以降は、ハイペースで提出しています。新入生の方には、「合否は気にせず、とにかくまず1通レポートを出してみてください」とお伝えしたいと思います。

お仕事に活かされていることなど、入学する前の自分と比べて変わったと思う点を教えてください。

sample さきほど、実務は判例・先例に縛られると申し上げましたが、そうではない業務分野もあります。それは裁判関係です。司法書士は書類作成という形で本人訴訟を支援しますし、訴訟代理人として簡易裁判所の法廷に立つこともあります。そのときに、「判例の趣旨に照らせばこちらの負けですから請求を認諾します」と白旗を揚げることはできません。判例の立場とは矛盾する結論を導かざるを得ないとき、説得力のある主張を展開するためには、広く深い学問的な基盤が必要なのだということがよくわかりました。従来は裁判関係業務には及び腰と申しますか、できれば避けたいという意識もあったのですが、しっかりと学問を身につけたうえで、積極的に受任していきたいと思います。

今後の目標を教えてください。

 各種の研修会やセミナーなどで講師役を務める機会も増えてきました。「伝える」仕事というのは「代わる」仕事とは全く違う難しさがある反面、特有の楽しさ、やりがいも強く感じます。いずれ講師・講演業を本格的に事業化したいと考えています。

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