卒業生の声平野 理華さん

法律論を振りかざすのではなく、消費生活相談員としての業務に幅広い知識で柔軟に対応できるようになりました。

平野 理華さん
  • 入学:2012年4月(3年次編入学)
    卒業:2015年3月
    就学時:40歳代
    居住エリア:千葉県在住
    職業:消費生活相談員

入学のきっかけを教えてください。

 若いころから消費者問題に興味があり、出産のため企業を退職後30歳の時に消費生活アドバイザーの資格を取得。以来長年ネットトラブルに関する調査機関に在籍していました。その間、インターネット通販黎明期における事業者と不慣れな消費者の牧歌的なトラブルから、最近の迷惑メールを端緒とする悪質な出会い系やワンクリック詐欺、模倣品や不正改ざん品の販売、更には公的機関を装った詐欺サイトなどのサイバー犯罪まで、様々なトラブルを見てきました。仕事は特別法に基づく調査でしたので、違反か違反とまではいえないか日々その根拠や解釈についての議論があり、専門的な知見を積み重ねました。しかし、次から次へと現れる悪質なサイトを前に、一度法を体系的に理解した上で総括してみたいと考えるようになりました。木を見て森をみず、一度森を見てみようではないかと。
 ちょうど娘が高校に入学した年でしたので、娘と一緒に卒業しようと3年で卒業という目標を決めました。

お仕事の内容を教えてください。

 在学中の後半には家庭の事情もあり、上述のフルタイムの仕事から出勤日数の調整ができる自治体の消費生活相談員に転職しました。仕事は、悪質商法による被害や商品事故の苦情などの消費生活に関する相談に応じるものですが、当初は、国や県が事業者への指導等の権限を持っている一方、市町村は住民の苦情を聞き情報提供を行うだけの昔のイメージが強く、気が重い部分がありました。ところが、消費者庁の創設や消費者安全法の施行により、市町村の相談現場は大きく変化し、助言や情報提供だけでなく、必要に応じてあっせんに入り積極的に被害回復を図るまでを担うものとなっていました。もちろん、相談業務は、法律論を振りかざせば簡単に解決できるものではありません。しかし、ネットトラブルだけにマニアックに詳しかった私が、幅広い知識を必要とする相談業務に比較的スムーズに適応できたのは、大学で法律を学び法の森を外観したことで、基本的な部分を上手く整理することができたからだと思います。

最近、平野様が関心のある消費者問題を教えてください。

sample もともと子どもを巡る製品の問題やサービスのトラブルに関心があり、以前から消費生活アドバイザーによる「子育てグッズ&ライフ研究会」という会で活動してきました。ここ何年かは、中高生とスマートフォンの問題に取り組んでいます。
 実は、卒論のテーマである、改正刑法で新設された不正指令電磁的記録に関する罪、いわゆるウィルス作成罪等の運用状況を調べるうちに、本来想定されていたサイバー空間の脅威に対してではなく、未成年の子供たちの腕試し的な事案に適用されている現状に大変驚きました。そこで、最近は子供が被害にあわない為だけでなく、子供を加害者にしないための啓発活動に力を入れており、ちょうど卒論提出直前にシンポジウムを開催しました。時間を取られて、卒論のツメが甘くなってしまった点は後悔が残りましたが、今後もこの問題はライフワークとして取り組んで行きたいと思っています。

消費者相談の約8割が契約に関することと聞きましたが、消費生活相談員の方が本学に入学された場合、学ぶ科目の順番などアドバイスはありますか。

 やはり相談の現場で馴染みのある民法から入られるのが良いのではないのでしょうか。ただ、スクーリングに参加するには同僚と休暇を調整する必要がありましたので、そこはあまり順番にこだわらず、参加可能な講義を優先しました。対面式のスクーリングで直接授業を受けることは、非常に有意義であり理解が深まるからです。
 私が相談実務に即役立つと感じたのは、「民法4(債権各論)」と「倒産処理法」でした。また、3年次編入学ですと必須単位ではないのですが、相談者あるいは事業者とのコミュニケーション力を高めるテクニックを身に着ける上で、「論理学」はイチオシです。

大学で法律を学び、ご自身に変化はありましたか?

 昔、議論をしても中々白黒をつけず、「すなわち...」を繰り返す法令担当がいて「すなわちクン」などと当時は揶揄していましたが(ごめんなさい!)、いかに自分が単純だったかに気が付きました。正解を見つけようと森に入っても、そこは延々と樹海が続き、至る所に"但書"という落とし穴や"学説"と言う迷い道があります。誤解を与えない上でも、言葉は慎重に選ばなければならないと思うようになりました。法律は奥が深いですね。

途中で退学してしまう方も多いのですが、入学から卒業までの期間で、平野様のターニングポイントを教えていただけますか。

 卒論を書き始めた3年目です。考えてみれば、四半世紀以上前に卒論を書いた時には、研究室の先生からのさまざまなフォローがあり、同時期に卒論に取り組む仲間がいました。一方で、通教課程では2年目に「演習」を受け、それなりの資料を集めたものの、苦難を一緒に乗り越える仲間はおらず、「絶対に今」やらないといけないというシバリもないので、向き合うのが億劫な時期がありました。ただ、娘が大学受験に向け猛勉強をしていたので、流石に「や~めた!卒業は来年でもいいや。」と言いづらい環境にありました。模試の結果に一喜一憂し、一つ一つ苦手科目を潰していく娘を前に、心底なんて自分はダメな母親なんだと、何度も落ち込みました。ホントに...(笑)。受験生という最強の伴走者がいたお蔭で、何とか目標を達成することが出来ました。

入学志願者の方に一言お願いします。

卒業式で通教生の仲間と一緒に。

 通信教育課程は、どなたにも門が開かれている反面、通学課程と異なり、出口は想像以上に狭いです。それでも、スクーリングを中心に計画を立てて、それに沿った学習をしていけば、必ず卒業というひとつのゴールに辿りつけます。特に次のステップを目指す若い方は、通過点と捉えあまり細部にこだわらず短期での卒業を達成し、次のゴールを目指して欲しいと思います。

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